第5回 福田 大和  「コーチからのメッセージ」

コーチからのメッセージ
福田 大和

①Jr youth時代記憶に残った試合
私がJr youth時代に1番記憶に残っている試合は高円宮杯の代表決定戦です。
当時の三郷Jr youth12期は高円宮杯の前の日本クラブで関東大会に出場したほか、2年時の新人戦では、大宮アルディージャに食い下がり第3位、県1部リーグ3位と優秀な成績を収めていました。このような成績からもわかるようにチームは埼玉でも屈指の実力を持っていました。チームは高円宮杯でも関東大会に出場し、その先までという高い目標を掲げていました。
チームは順調に勝ち進み迎えた代表決定戦、対戦相手はFCコルージャでした。実力があるとはいえ、チームにおごりはなく、コーチ陣はしっかり相手を分析し、ミーティングも行いました。しかし、結果は1-4で惨敗。チームは関東大会に再び立つことはできず、大きな公式戦を終えることになりました。私がこの試合を一番印象に残っている理由は悔しかったからというわけではありません(当然悔しさもありましたが)。
実は、この試合4失点のうち3失点は1人選手のヘディングシュートによって挙げられました。その選手はオナイウ阿道選手で現在はプロとして活躍、日本代表にも選出経験のある選手です。その選手の有無も言わせぬ高い身体能力、そこから生み出される高い打点のヘディングがとても印象的でこれはかなわないと思わせるほどのインパクトがありました。
そのほかにも印象に残る、名試合は何試合かありました。なにか機会があったら選手にも話せたらと思います。

②Jr youth時代に最も学んだこと
私がJr youth時代に最も学べたことは頭をつかって守備をすることと1対1の守備です。
私は早生まれで成長が遅かったため、当時は体が小さく弱く、スピードも速くありませんでした。主にSBを任されることが多かったため、何も考えず相手選手とマッチアップをするとスピードの差で裏を取られてしまったり、体の強さで競り負けてしまいます。このことから、マッチアップする選手にやられないためには、頭を使うことが必須でした。まずは、相手と自分との能力差を把握すること、これがわかると裏を取られないようにポジションをとれます。あとは、予測することボールがどこに出てきそうか、これができると相手にコンマ数秒勝つことができます。これをを試合や練習で学んだことで1対1になる前に不利にならず、やや優位をとることができました。
次に1対1の守備です。私には人一倍足が伸びる特技がありました。その特技を生かすための間合いなどをドリブルのうまいチームの選手に練習で積極的に挑みに行くことで身に付けました。
身体能力の差で悩んでいる選手はこの年代では多いと思います。「どうせ身体能力の高い選手には勝てないや」とそこであきらめてしまうのではなく自分が強みを活かせる土俵に相手を引きずり込めるように頭を使って練習や試合に取り組めるといいと思います。

③Jr youth時代に学んでおいたほうがいいこと
②と反対に近いことを言ってしまいますが、Jr youth時代に学んでおいたほうがいいことは“苦手分野の克服”と“基礎技術の向上”です。これは私の後悔でもあります。私が当時SBで守備の選手だったこと。また、私の今持っているもので勝とうとしてしまう性格が相まって苦手分野の克服やボールを扱った基礎技術をないがしろにしたまま中学時代を過ごしきってしまいした。
身体能力が高い選手などは特に陥りがちだと思いますが、自分の持っている強みだけで勝てる選手はその強みを使うだけで勝ててしまうがゆえに苦手分野には目を向けず克服することを拒んでしまいます。そのような選手は高校にいってその武器が通用しなくなった場合にその苦手分野が足を引っ張り苦労すると思います。また、基礎技術が身についていない選手はある程度までは戦えるかもしれませんが高いところでは戦うことができません。
この中学年代まではいろいろな技術を身につけることができます。しかし、高校年代になるといろいろな技術が身に付きづらくなります。この年代だからこそこれらのことを意識して練習に取り組んでください。また、基礎技術に関して言えばこのコロナショックの中でも自主トレーニングをすることによって向上させることができると思います。与えられている1秒1秒を無駄にすることなく生活してください。