第8回 成田航太 「三郷Jr.YouthスタッフU-15時代を語る」

三郷Jr.YouthスタッフU-15時代を語る
GKコーチ 成田航太(16期生)

私が、Jr.Youth時代に記憶に残る試合は、高円宮杯県大会1回戦VS大宮FCとの試合である。クラブリーグからの予選リーグは14勝1分1敗で県大会へ進出。県大会へ進出を決めたチームは練習、分析、ミーティングを繰り返した。また、父母会による決起集会や応援団・応援歌作成、メガホン作成をしていただきチームが1つとなり関東大会出場を目指した。8月大宮FC専用グランドへバスで向かった私たちは、緊張のあまりグランドに着くと沈黙の空気が荷物置き場には漂っていた。しかし、いつも通りのおもしろい福田代表のミーティングや清徳コーチの話、高野コーチの盛り上げにより、沈黙が続いていたチームはあっという間にいつもの元気な集団へと変わり、大宮FCをそしてグランド全体を三郷Jr.Youthの
空気へと変えた。試合前全員で円陣を組み、セレモニーへと向かった。反対側の応援席には、ベンチに入れなかったメンバーや多くの父母、地元からの多くの同級生が赤と黄色のメガホンを持ち、大声で合唱していた。試合が始まると、両者1歩も譲らない展開。前半開始早々1点を先制。「これはいけるのでは!?」と思ったのも束の間、後半2点を返され、残り5分になっていた。ベンチからは福田代表の激が飛び、父母からは厳しい声がグランド全体に響き渡った。残り2分CKを獲得。私は、GKのポジションから「頼む」と念を送っていた。コーナーキックを蹴った直後、ベンチが、応援席が沸いた。残りわずかでの同点ゴールであった。延長戦へとなったもののチームにはいけるという雰囲気が流れていた。そして延長後半、フリーキックからの大逆転ゴールが決まった。その後は、相手のペースとなったが耐えきり試合終了。応援席に挨拶に行った際には、涙を流すお母さん方や抱き着いてくるチームメイトなど、チームが最高のムードであった。チームが1つとなり決して最後まで誰も諦めなかったという気持ちが引き起こした試合であがった。
Jr.Youth時代にもっとも学んだことは、基礎技術の大切さ、父母の方々へのありがたみである。清徳コーチのサッカーは、より、「繋ぐ」を基本とするサッカーであり、基礎技術のトレーニングは毎回時間をかけて行っていた。当時は、技術よりも、遠くへ蹴ることが良いと思っていた私は、技術のトレーニングは過酷なものであった。しかし、やっといて良かったなと感じたのは高校時代であった。中学年代の時にやっていなければ高校では全く通用しない。止める、蹴るというような基礎技術はとても大切であり、やっていて良かったと感じた。また、三郷Jr Youth父母会の一体感はすごい。大会の時の応援や差し入れなど、いなければ力負けしていた試合も後押しのおかげで100%以上の力が発揮できる。なかなか実感できないかもしれないが、自分だけの力でサッカーができているのではないということをしっかりと理解し、感謝の心を持つべきである。
Jr.Youth時代に一番身に着けておくべきことは、「基本」である。前述したが、基本というのはサッカーだけでなく何をするのにも大切なことであり、基本がなっていないと応用にいくことはできない。サッカーにおいても、止める、蹴る、運ぶという基本ができていないとシュートやセンタリング、スルーパスという応用にまで繋げていくことはできないのである。走ることにおいても基礎体力がないとフルタイム走り切ることはできない。16期生は走るというトレーニングはほとんどなく、高校に行きかなり苦労した。どんなことにおいても、「基本」は中学生年代の伸びるうちにやっておくべきである。