最終回 「キャプテン」 柳田亘輝

「キャプテン」

 柳田亘輝

私は六年前に三郷ジュニアユースFCに入りました。三年時にはチームのキャプテンとして活動してきました。キャプテンになったことで備わったことを紹介していきたいと思います。
まず、一年生の頃は中学生になった事に浮き足立ち、自覚の足りなさから親やチームに迷惑をかけてきました。サッカーができる環境を当たり前と捉え、感謝の気持ちを持つことを忘れていた時期がありました。そのような事が続いた頃からだんだんと試合に出れなくなっていき、初めてそこで自分を「見つめなす」ということをしました。それはだらしなかった自分にとっていいきっかけになりました。
二年生になると同時に、十八期を指導してくれていたメインスタッフが辞めることになり今までなかった感情が生まれました。「このままオレたちどうなるのかな」「この先うまくやっていけるのかな」そう思うようになってから自分の中で俺がチームをいい方向に引っ張っていこうと責任感を持つようになりました。この頃から仮キャプテンのような感じになり、今までのような自分の事だけを考えていた自分から少し人として変われた瞬間だった様に感じています。夏から髙野コーチが十八期のスタッフとして一緒に活動してくれることになり、より一層チームとしての一体感を大切にする様になりました。そして、冬には県リーグ参入をかけた戦いで今では、街クラブ最強とも言われるFC LAVIDAに勝利し、三郷ジュニアユースとしても久しぶりの県リーグに昇格する事ができ、更に自分達の成長の場を自分達で掴みとる事ができました。
最高学年となり、最後の一年が始まりました。ここで私は正式にキャプテンとなり、いつもチームの為に何ができるのかを考えてきました。公式戦が増え、県リーグも毎週のようにあって、日々緊張感を持った活動を送って来れました。県リーグに参入した自分達の目標は残留する事でした。しかし、試合である以上毎試合勝つことだけを考え、チーム一丸になって戦っていくにつれ、気が付いたら優勝・昇格争いをしていました。ここまでくると目標も変わり、優勝・昇格したい一心で私は今まで以上に熱が入り、仲間に対してもより要求し、時にはきつく当たりました。生温い雰囲気を感じた仲間には容赦無く厳しい言葉を放った時もありました。当時の私はそれで変わってくれると信じてそうしました。それを嫌に感じ、良く思わなかった人も少なからずいたと思います。ただ、試合に出ている選手だけが本気でやっていても絶対に強くならないことを感じ、チームの為を思ったからこそです。その代わりに自分が誰よりも本気でプレーすること、そして仲間のために試合に勝つことを心に決めていました。自分が本気でプレーしている姿を見せれば、必ずみんながついてきてくれる信じていました。そしてついてきてくれました。
結果として、十八期としては県大会でも勝ち上がれず、一部に昇格することもできずに何も残せないまま終わってしまいました。ただ、結果以上に価値のある物を手にする事ができました。それは「仲間」です。どんな時も一緒に闘ってきた仲間は時間が経っても変わることはありません。それともう一つ、キャプテンになったからこそ人としてもプレーヤーとしても成長する事ができました。きっとキャプテンとして変われた事が、高校で結果を出せたことにつながったのかもしれません。
みんなに伝えたいことは、何事にも本気で向き合って、本気で取り組んで欲しいということです。このジュニアユース時代は二度と戻ってきません。だからこそ「本気で過ごして濃い色のジュニアユース生活にしよう。そして、誰かに任せず、全員がキャプテンの気持ちを持ってチームのために行動しよう。」必然的に人としてもプレーヤーとしても成長できるはずだと俺は思っています。そして最後に、俺よりも高校・その先で活躍できる選手になってくれることを期待しています。

『超強く超逞しく』